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ミノーの作り方

minnowこのページではミノーの中でも代表的なうろこ模様のついたリアルミノーの作り方を紹介する。

リアルミノーは見た目が魚に似てリアルで美しく、これを使えば釣れそうな気にさせてくれるルアーだ。
もちろん実際の釣果の実績も優れており、正直釣れる。

ミノーと言えば昔からあるラパラが有名だが、リアルミノーに関しては日本で独自に発達したルアーと言えるだろう。
より多く釣るため、より魚に似せるために、誕生したルアーである。

このルアーの対象魚はブラックバス、トラウト、シーバスなど小魚を捕食する生態をもつ魚である。

そのためかミノーを作っているプロのビルダーは国内に数多く存在し、彼等の作り方とその作品は実に様々だ。

今回はリアルミノーの原点とも言われるハンクル(HMKL)ルアーの作り方を参考にして紹介する。
このルアーは プロのアングラー兼ビルダーである泉和摩氏の作品であり、氏はおしげもなくその作り方をいろいろな雑誌で公開している。

ちなみに、ここに載せている方法はハンクルとまったく同じ製作方法ではない。

作り方の基本はペンシルベイトと同じであるため、リアルミノーの作り方の中の特徴的な工程について詳しく説明する。
なおこの作り方は、海のビッグフィッシュ用としては耐久性が足りないためあまり参考にはならないだろう。

リアルミノーが完成するには早くて丸5日長ければ10日以上かかる。
気長にじっくりと丁寧に作業するのが完成度の高いミノーを作るコツである。
手先の器用さが要求され、まるで伝統工芸の職人の技のような一面も必要となる。
ぜひじっくりと作ってほしい。

今回使ったものは、このページの最後に載せている。




作り方

  1. 型紙を作る

    どんなリアルミノーを作りたいかをイメージし、紙に具体的な図を描く。
    横から見た図だけでなく、正面から見た図も描く。
    一般的にミノーの形状はスリムであり、背から腹までの高さより正面から見た時の横幅の方が狭い。

    実物大で書き、エラをどう表現するのか、目は市販のものを使うのであればその大きさ(4mmや5mm)も正確に書く。
    腹部からテイル(尻尾)までの形状などもこのときに決めておく。
    リップをつける位置やボディに埋め込む深さと角度と長さも正確に書く。
    もちろん入れるウェイトの位置と穴の大きさも決めておく。

    そしてここがペンシルベイトと異なるところだが、ラインアイとフックアイ用に今回はワイヤーをボディに埋めこむ。
    下の工程6のところにワイヤーの図があるので、それを参考にしながらどのように埋め込むのかも書く。
    小さなミノーになるほどワイヤーとオモリの埋め込む位置は近づく(重なる場合もある)ため、よく考えて決める。

    ちなみにワイヤー自身もルアーのウェイトバランスに影響する。

    難しいことを言ったが、初めての製作では好きな形でいいだろう。
    完成後にスイムテストを行い、その動きに満足がいかなければ次回の製作でリップ、ボディ形状、ウェイトの位置を変えていけばよい。
    ただしあまり複雑な形状はアルミホイルを貼り付けるときに苦労するので、なるべくシンプルにしたほうがいいだろう。
    PCのソフトウェアで図を描けるのなら、図の使い回し・色や模様を考える点で便利である。

    次に厚紙にボディ部分の2種類の右図のような型紙を作る。
    ただし完成図より少し細めに型紙をつくるといい。
    これは型紙をペンでトレースする(輪郭をなぞる)ときとコーティングの工程でルアーが太くなることを考えた対策だ。

    はさみかカッターで切り取った型紙のオモリを埋め込む位置に穴を開け、センターアイ(腹部のフックアイ)の部分に印をつける。

    初めて作る人は市販品か右図を参考にして型紙を作るといい。
    特に対象魚が決まっていなければ5cmから10cmの長さのものが良いだろう。


  2. 材料・工具の用意

    作りはじめの頃は作りたいルアーの図を具体的に描くことで用意する材料や工具がわかってくる。
    そしてその材料をどこで買い、加工・取付けをどんな工具でどう行うのかを考えるのである。

    「そう言われてもまるで想像つかない」という超初心者のために、必要なものはこのページの最後に今回使ったものとして載せておいたので参考に。

    次の工程からいよいよルアー作りに入るのだが、作り始める前に、「注 caution」のコーナーの注意事項は必ず読んでほしい。

    堅い表現になるが、ルアー作りで起きた失敗や怪我は作った人の責任である。
    ここで出てくる工具や材料は使い方次第で危険な物になることがある。
    そういった事態にならないためにも読んでもらいたい。
  3. バルサを切る

    バルサ切り1で作った型紙をバルサの板にあて、ペンでなぞる。
    バルサはもろいため、ペンはなるべく細いマジックペンかよく書けるボールペン
    を使う。
    マジックペンの場合は一定の速さで速くなぞらないと線がにじむ。
    切り出しを簡単にするために、なるべく板の端に近いところに型を取る。

    カッターの刃先がこぼれていたら新しくする。
    必ず 注意のコーナー をよく読んでから切ること。

    板の下に下敷きとなるもの(ゴム製の板や厚紙など)を置いてから、カッターナイフで型よりも少し大きめに切っていく。
    かなり力がいるので、ゆっくりと切る。

    切り出した後、紙やすりで端を削って型どおりの形に整える。

  4. オモリを入れる穴を掘る

    穴あけ彫刻刀(円刀)かリューターを使い穴を掘る。
    入れるオモリは円いガン玉タイプをペンチで少しつぶして円筒形にして使う。
    割り箸(円筒形タイプ)やボールペンの尻などで穴の形を整え穴の底は平らにする。
    *オモリ(ウェイト)の大きさや形そして重さによってもミノーのアクションは変わる。

  5. ワイヤーでアイ・シャフトを作る

    wireこの工程はペンシルベイトで紹介した方法と異なるところだ。
    ワイヤーつまり針金は、ステンレス製などの錆びない材質で、軟らかすぎないものを使う。

    ピアノ線でもいいのだが、現在釣具屋でもルアー製作用にステンレスワイヤーが太さ3種類ほど販売されているので、このうち0.9mmのものがいい。

    * 海釣り用ミノーを作りたいのであればもっと太いワイヤーを使用することになる。
    万一魚の力でルアーがボロボロになり、シャフト部分だけになっても大丈夫なように強化する必要がある。
    その作り方はここでは説明しない。


    ワイヤーの長さは、ルアーの長さの約2倍のものを用意する。
    アイの丸みの部分は図のように精密ドライバーにワイヤーを巻き付け、根本をペンチで締めて作る。
    シャフトの形は行程5の図を参考に。

  6. 接着剤でバルサ・シャフト・オモリを付ける

    一度、図のようにシャフトとオモリをバルサで挟み(強く挟みすぎるとバルサがつぶれるので注意すること)、シャフトの跡をバルサにつける。

    その跡を精密ドライバーや彫刻刀で少し彫り、溝を作る。
    再度シャフト・オモリを挟み、バルサとバルサの間に隙間がなくなったら瞬間接着剤でバルサ・シャフト・オモリを付ける。


  7. バルサを削る

    前部と後部を削りテーパーをつける。
    前部は全長の6分の1、後部は全長の3分の1ぐらいからテーパーをつける(段々細くする)とバランスがいいと思う。

  8. バルサを削る

    図のように四つ角を削り八角形にする。

    一度に深く削らず、少しずつ薄く削っていく。
    テイル(最後部)は特に注意すること。

    左右対称になるよう、バランスを見ながら削っていく。
    また、アイ部分(ワイヤー)を傷つけないように注意すること。

  9. ルアーの形に整える

    紙ヤスリを使って、ルアーの形を滑らかにする。
    ヤスリの使い方はペンシルベイトの作り方と同じで、2種類の紙ヤスリでルアー全体を徐々に滑らかにする。
    バルサは簡単に削れるので、一ケ所だけ集中的に削らないようにする。

  10. コーティングをする

    コーティングこの作業の前にあらかじめ、乾燥台を作っておく。
    ペンシルベイトの作成時に作ったものがあればそれを使う。

    前部、後部からのセルロース1液へのドブ漬け乾燥をそれぞれ3回以上行う。
    塗装のコーナーの方法で行う。

  11. ルアー表面 をなめらかにする

    なmらかにコーティングが終わったら、紙ヤスリで表面をなめらかにする。
    ここで完全に凹凸を無くさないとアルミ箔を貼る作業がきれいにできないので根気よくやろう。

  12. アルミ箔にうろこ模様をつける

    アルミ箔、つまりアルミホイルのことだ。
    料理用に売っているもので厚さ20ミクロンのものを使う。
    手に入らなければ一般に販売している15ミクロンを使う。
    オーブン用のものが20ミクロンと25ミクロンで売っている。
    メーカーによって色が違い、中には適さないものもある。
    アルミ箔には表裏があり、裏は表より光の反射がにぶいのが普通だ。(プロは業務用のものを使っている)

    ウロコ模様アルミ箔を切り取るときはカッターを使う(しわができやすいので注意すること。)
    カッターの刃は新しくする。

    角材などに絹の布を巻いた物もしくは市販のヘラ(柔らかい材質のもの)と、片目ヤスリを使用してうろこ模様をつける。

    ヤスリとアルミ箔の表面のゴミはあらかじめ取っておく。
    アルミ箔表を上にして、図のようにヤスリの上を一定の力で2往復し、ヤスリの跡を均一につける。

    次に裏を上にして同じように1往復する。
    型紙とカッターを使って、ルアーより一回り大きく切り抜く。

  13. ルアーにアルミ箔を貼る

    アルミ貼り 一番難しい作業で経験がすべてのため、最初のうちは失敗するかもしれない。
    失敗した場合はアルミ箔をはがし、紙ヤスリでルアー表面を整え、1回コーティング乾燥して再度挑戦しよう。

    まずルアーにアルミ箔を置き、左手の親指と人差し指で軽く挟んで固定し、右手の親指の腹で軽くアルミ箔をこすり、ルアーのボディになじませる。
    このとき、指の表面が荒れているようであれば、紙ヤスリでなめらかにしておく。

    アルミ箔がだいたいルアーの形になったら、ゆっくりと形を崩さないようにルアーから外す。
    今度はルアー表面にラッカー薄め液を平筆で塗る。
    つけすぎないように注意し、左右どちらか片面のみ塗る。
    こうすることでルアー表面が溶け、接着力が出る。

    先程のアルミ箔を慎重にルアーに乗せる。
    右手の親指の腹で、アルミ箔の中央から徐々に背や腹、そして頭や尾の方向へとアルミ箔を力をあまり加えずに軽く伸ばして貼っていく。

    これが一番難しいので最初のうちは失敗の連続だと思う。

    * 最初は必ずしわができるが、このしわがボディ中央にできないように、しわをアルミ箔の端へと伸ばしていく。
    強い力で伸ばそうとすると、アルミ箔がルアーからずれたり、コーティング剤が剥がれたり、うろこ模様が潰れてしまう。
    アルミ箔がルアーより大きくはみ出した場合は、カッターで余分な部分を切り取る。(バルサの継ぎ目に沿って切る)

    貼り終わったら、もう片側もアルミ箔を貼る。
    両側のアルミ箔表面を傷つけないように注意すること。
    背と腹の部分で2つのアルミ箔がちょうどくっつくように(背・腹のバルサが見えないように)貼るのがベストだ。

    測線を付けたいとき
    測線を付けるのであれば、アルミ箔を貼り1時間立ってから手芸、ガリ版で使うルレットを使用して測線を引く。

  14. コーティングする

    再びセルロース1液で、前部から2回後部から1回のコーティング乾燥を行う。

  15. 頭部にアルミ箔を貼る

    顔アルミ入手可能なら厚さ20ミクロンのアルミ箔を用意する。
    無ければ15ミクロンのものでも構わない。頭部用の型紙でアルミ箔を2枚切り取る。
    ルアー頭部を紙ヤスリでならし凹凸を無くす。そして工程12の方法で頭部用のアルミ箔を貼る。

  16. エラ、サインを書く

    エラ書き図のように頭部用の型紙を、ルアー頭部にずらして当てて、鉄筆でエラを書く。
    そして自分のサインを書く。

    あまり力を入れて書いてはいけない。
    修正が効かないので慎重に一定の力でおこなう。

  17. コーティング、ルアー表面を滑らかにする

    セルロース1液で頭部からのコーティング乾燥を1回行う。
    そして背と腹の凹凸を紙ヤスリで無くし、滑らかにする。
    再びセルロース1液で、後部から2回のコーティング乾燥を行う。

  18. 塗装とコーティング

    塗装背と腹にシルバーで下色を塗る。
    エアーブラシが最適だが、カラースプレーでも代用できる。

    乾燥させたら、セルロース1液でのコーティング乾燥を行い、本塗りを行う。
    詳しくは塗装のコーナーを参照に。

  19. リップを作る

    材料としては、ポリカーボネート板がお勧めだが、なければアクリル板やアルミ板、ステンレス板でも代用できる。
    ちなみに金属板を除いてはポリカーボネートは透明樹脂の中で最高の衝撃強度がある。
    PET板の約8倍、アクリル板の約40倍と次のページに掲載されている。

    http://www.oisogi.com/product/index.html

    また基板リップというものもあるが、正式にはFRP板。
    FRPはFiber Reinforced Plasticsの略で、クランクベイトのリップはガラス繊維であるGFRP(Glass FRP)である。
    HMKLではハンクルサーキットボードという商品名でも出している。
    ここのページを参考にした

    リップ(ポリカーボネイト)の加工について
    折って切り出す場合、市販の専用工具”Pカッター”を使う方法がある。
    厚さが2mm以内であれば、裁ちハサミ(金属切断用ハサミ)が簡単でお勧め。

    ニッパーや爪切り、金ヤスリを使って形を整える。

    リューター(ルーター)や電動ドリルがあれば、先端に直径3cmくらいの丸ノコのビットをつけて切ることが可能だ。

    この場合摩擦熱が発生して溶かしながら切断するため、簡単に切れる。
    ただし、曲線切りは不向き。

    ノコギリを使う場合は、精密鋸が適している。
    ”ピラニアソー”は曲線切りは苦手だが、切断面がきれいでアルミの切断にも使えるのでお勧め。

    リップの形状はいろいろあるが、右図を参考にしても結構だ。
    溝の部分の加工は、鋸などで切れ目を入れてから棒ヤスリで削るのが簡単だ。

    リップの材料の入手方法について
    大手のホームセンターでクリアーで手頃なサイズのポリカーボネートを見つけるのは意外と難しい。
    だいたいはハンドメイド関係を取り扱っている釣具店か、東急ハンズ、または美術工芸用の画材店で取り寄せ注文となる。
    そういった店が地元にない場合、インターネット通販での購入が手軽だろう。
    例えばこんなサイトがある
    http://www.lemon.co.jp/newmokei/mokei_g1.html

    他にも裏技として、ポリカーボネイト(厚さ1.5mm〜3.0mm程度のもの)は建築材料としても多用されているため近所にTOSTEMなどのエクステリア店があれば「小さいので良いから捨てるヤツを下さい」と言えばタダで貰える可能性がある。

    とにかく簡単に手に入る材料で作ってみたい、という人には
    プラスチックの靴べらや定規
    などがおすすめ。

  20. 目をつけ、コーティング

    ペイントアイの方法をとるなら、塗装のコーナーを参考にする。
    グラスアイを使う方法をとるなら、ペンシルベイトの作り方を参考に。
    つけ終わったら、セルロース2液で頭部と後部からのそれぞれ1回コーティング乾燥を行う。
    これでルアーにツヤが出る。

  21. リップを付ける

    ルアーのリップを付ける位置をカッターや彫刻刀、リューターを使って穴を彫る。
    もしこの際、塗装面とウレタンの間が剥離してしまう場合は、ここを参考に。

    リップを付ける角度はルアーに求める動きによって様々だがここでは約60度にしている。

    次に瞬間接着剤で防水処理を行う。

    乾燥後リップをはめ(仮付け)、浴槽でスイムテストを行う。
    理想の泳ぎになるまでリップを削ったら、瞬間接着剤でルアーに付ける。

  22. 最後に

    リップの側面 と付け根に、セルロース1液を薄く塗り、防水処理をする。後はスプリットリングとフックを付ければ完成だ。
この作り方は、ミノーペンシルやクランクベイト、シャッドなどにもにも応用できるのでぜひ参考にしてほしい。



今回使ったもの

  • バルサ板(厚さ5mm〜9mmのもの):繊維の方向がどれも均一で節がないものがよい
  • フック2個(ダブルフックまたはトリプルフック)
  • スプリットリング(ダブルフック使用時は不要)
  • ワイヤー(ステンレス製かピアノ線で、太さ0.9mm)
  • アルミ箔(家庭用で厚さ15mmものと20mm)
  • 目2個(ルアーの目となるものなら可。ペイントアイにするのなら不要)
  • 塗料(下塗り用と本塗り用、缶スプレーでもいい)、廃液瓶
  • 塗料うすめ液(ラッカーうすめ液またはシンナー)
  • ノコギリ(刃がこまかいもの)か金属用はさみ
  • カッターナイフ
  • 紙ヤスリ(100番台、200番台、400番台)
  • 片目ヤスリ(アルミ箔、リップ用に使用するが、プラスチック用ヤスリとして売っているものが手に入りやすい)
  • ルレット(測線を付ける場合必要)
  • 角材に絹の布をまいたもの、または市販のヘラ(ゴム製か樹脂製のもの)
  • リューターまたは彫刻刀、ポンチ
  • ペンチ、精密ドライバー、鉄筆
  • ハケか平筆、瞬間接着剤
  • エアーブラシまたは缶スプレー(塗装の方法により必要)
  • 防毒マスク(塗料やうすめ液などの有機溶剤を多く使う場合必要)
  • 乾燥台(自作)
  • コーティング剤(セルロースセメント1液と2液)
  • ポリカーボネート板かアクリル板(釣具屋で購入できる)
詳しくは材料のコーナー工具のコーナーを読んでほしい。


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